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親鸞聖人を学ぶ

出版社: 1万年堂出版

著者 伊藤 健太郎
仙波 芳一
ジャンル 広告企画 > 2015/06/21 読売新聞
出版年月日 2014/12/28
ISBN 9784925253857
判型・ページ数 336ページ
定価 本体1,500円+税
 

目次

第1章 二十九歳までの、決死の求道
1 親鸞聖人は、どんな時代に生まれたのか。源平の合戦と、相次ぐ天災がもたらしたもの
2 わずか九歳で、出家を決意されたのは、なぜか
両親との別れから知らされたこと
3 天台宗の僧侶となり、「女人禁制」の比叡山で、どんな修行をされたのか
4 求道に行き詰まった時、聖徳太子が夢に現れて告げた「謎の言葉」とは
5 「なぜ、このお山の仏教は、女を見捨てられるのでしょうか」
美しい女性の指摘に、絶句された親鸞聖人
6 「この親鸞こそ、偽善者だ」
誰よりも戒律を守りながら激しく嘆かれたのは、なぜか
7 「このままでは地獄だ」と、二十年間の修行を捨てて、下山されたのは、なぜか
8 六角堂での百日の祈願
救世観音から授かった「女犯の夢告」とは
9 親鸞聖人は、なぜ、法然上人の弟子になられたのか。「後生暗い心」は解決したのか

第2章 法然上人の弟子としての活躍
10 「肉食妻帯」の真相
なぜ、激しい非難を覚悟してまで、公然と結婚されたのか
11 親鸞聖人は、法然門下でどのような立場であったのか
『選択本願念仏集』の書写を許された意味
12 どんな人を「仏」というのか? 「仏」と「菩薩」の関係は? 「阿弥陀仏」と「釈迦」は同じ仏?
13 釈迦の本心が説かれた真実の経典は『大無量寿経』ただ一つと、親鸞聖人が断言されたのは、なぜか
14 「体失不体失往生の諍論」の真相
弥陀の救い(往生)は、「生きている時」か、「死んだ後」か
15 「信心同異の諍論」の真相
他力の信心は、どんな人も皆、同じ信心になるのか、学問や経験によって一人一人異なるのか
16 「信行両座の諍論」の真相
阿弥陀仏の本願には、「念仏」で救われるのか、「信心一つ」で救われるのか

第3章 権力者と仏教諸宗からの総攻撃
17 天台宗、真言宗は、なぜ、圧倒的な勢力を持つようになったのか
18 なぜ、釈迦は、聖道仏教(天台宗、真言宗など)では、一人も助からなくなる、と説いたのか
19 「このままでは、日本中が浄土宗になってしまう」
危機感を抱いた大寺院は、どんな行動に出たのか
20 なぜ、釈迦は、「阿弥陀仏一仏に助けていただきなさい」と勧められたのか
21 法然門下を弾圧する後鳥羽上皇は、どのようにして絶大な権力を持つようになったのか
22 全仏教が結託して朝廷に直訴した「興福寺奏状」には、何が書かれていたのか
23 仏教史上、例を見ない過酷な弾圧の引き金になった「鹿ヶ谷事件」とは
24 なぜ、法然上人は、「たとえ死刑になっても変えない」と激怒し、弟子を破門されたのか
25 なぜ、親鸞聖人は、京都から追放され、越後へ流罪になったのか
26 親鸞聖人は、無法な弾圧に遭いながら、苦難が喜びに転じ、感謝まで述べられているのは、なぜか
27 「親鸞は坊主ではない」の宣言は、何を意味するのか
「僧に非ず俗に非ず」の真意
28 親鸞聖人は、流罪が解かれたあと、なぜ、越後から京都に帰らずに、関東へ向かわれたのか

第4章 関東布教の二十年
29 法然上人の弟子の中で、「専修念仏」を正しく伝えた人は、どれだけいたのか
30 なぜ、親鸞聖人は、大雪の夜、日野左衛門の家の前で、石を枕にして休まれたのか
31 なぜ、親鸞聖人は、「田植え歌」を作り、村人と一緒に泥田へ入られたのか
32 親鸞聖人を流刑に処した後鳥羽上皇は、なぜ、自らも流刑になったのか
33 なぜ、自分を殺しに来た弁円に、「我らは喜ばしき友、兄弟じゃ」と、親鸞聖人は笑顔で応じられたのか
34 「病気治し、商売繁盛、豊作、安産の祈祷が仏教ではない」と、親鸞聖人が明言されたのは、なぜか
35 山伏は、僧侶なのか、超能力者なのか。神信心と密教が混合して生まれた「修験道」
36 「神社の神も元は仏であり、神も仏も一体だ」という誤った説が、なぜ広まったのか
37 親鸞聖人の教えが、全て書かれている『教行信証』六巻には、何が教えられているのか
38 親鸞聖人の教えは、なぜ、こんなに厳しいのか
「仏教以外の一切の宗教を捨てよ」
「聖道仏教を捨てよ」
「自力(仮)を捨てよ」
39 高熱で、うなされていた親鸞聖人が、「ああ、そうであったか!」と、突然、布教に出られたのはなぜか
40 飢饉で餓死していく人を見て、経典を千回読もうと決意。
なのに、なぜ親鸞聖人は、「誤っていた!」と叫び、中断されたのか
41 二十年間の関東布教で、どれくらいの人が、教えを聞くようになったのか

第5章 関東から京都へ
42 親鸞聖人は、なぜ、還暦を過ぎた頃、京都へ帰られたのか
43 「熊野神社へ参詣せよ」と主人から命じられた平太郎に、親鸞聖人は、どう教えられたのか
44 関東に現れた日蓮は、浄土仏教を、どのように批判したのか
45 「念仏をそしる者は、地獄へ堕ちて、大苦悩を受ける」と、親鸞聖人が教えられたのは、なぜか
46 親鸞聖人の長子・善鸞は、なぜ、教えを曲げて、「秘密の法文」を作ったのか
47 善鸞を祖とする「秘事法門」は、七百年後の現在、どのような形で伝わっているのか
48 関東の同行が、命懸けで、京都の親鸞聖人の元へ旅立ったのは、なぜか

第6章 晩年の聖人、京都でのご苦労
49 「念仏が、極楽往きの因か、地獄に堕つる業か、今更この親鸞に言わせるおつもりか」
親鸞聖人が激怒されたのは、なぜか
50 「自分の信心がニセと分かったのは、大変よいことだ」
親鸞聖人は、なぜ信心の動乱を喜ばれたのか
51 「親鸞は弟子など、一人も持っていない」
裏切って去っていく信楽房を、温かく見送られた真意は?
52 二十四輩の筆頭、性信房は、関東で起きた動乱に、どう立ち向かったのか
53 「情けなさ、言うに及ばないけれども、今からはおまえの親ではない。子とも思わない。悲しい限りである」
長子・善鸞を義絶されたのは、なぜか
54 親鸞聖人の著作活動が、晩年まで衰えなかったのは、なぜか
55 親鸞聖人を「優れた詩人」とも評する人が多いのは、なぜか
56 「親鸞が死んだら、鴨川へ捨てて、魚に与えよ」と常に言われていたのは、なぜか

第7章 親鸞聖人は何を教えられたのか
57 「親鸞は、今まで誰も説かなかった、新しい教えを伝えているのではない」
浄土真宗は、どなたの教えなのか
58 「浄土宗」と「浄土真宗」は、どこが違うのか
59 「因果の道理が分からなければ、親鸞聖人の教えは分からない」といえるのは、なぜか
60 「人生には目的がある。しかも、生きている現在、完成できる」
親鸞聖人の教えを、なぜ「平生業成」というのか
61 生老病死などの苦しみの根元を抜き、無上の楽しみを与えるのが仏教の目的、とはどういうことか
62 我々を特に苦しめる「欲」「怒り」「愚痴」の、三毒の煩悩とは、どんなものか
63 親鸞聖人が、苦悩の根元と断定される「無明の闇」とは、どんな心か
64 阿弥陀仏の本願を、「大きな船」に例えられたのは、なぜか
65 阿弥陀仏の本願を、「太陽」に例えられたのは、なぜか
66 金、名誉、地位、財産などの「相対の幸福」では、本当の幸せになれないのは、なぜか
67 「絶対の幸福」に救われたら、人生の景色は、どのように変わるのか
68 「往生には、二つの意味がある」と、親鸞聖人が教えられたのは、なぜか
69 勤行で拝読する「正信偈」には、何が書かれているのか
70 他人の力や、自然現象などを「他力」というのは、なぜ、間違いなのか
71 「念仏」といっても、三とおりあると、なぜ、親鸞聖人は教えられたのか

親鸞聖人を、もっと詳しく学びたい方へ
◆ビデオ、書籍の案内
◆基本人名、用語集
◆年表、人物関係図

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内容説明

僧侶の妻帯は、日本仏教の最大の特質といえよう。釈迦の定めた戒律では、出家は女人との交わりを禁じられ、犯せば教団から追放される重罪だった。中国や韓国、東南アジアの仏教国では、今もそれが常識である。
わが国でも親鸞聖人までは、坊主の結婚など論外だった。だが八百年前、親鸞聖人は公然と妻帯された。その破天荒は、正法を破壊する天魔、仏教の怨敵と集中砲火を浴びたことは、言をまたない。かくて僧侶の結婚を認める仏教が、親鸞聖人の浄土真宗から始まった。それは室町時代、蓮如上人の活躍により日本最大の宗派となる。
結局、他の宗派もすべて僧職の婚姻を是認し、住職が子に寺を継がせるのが普通になった。一国の仏教をかくも変えた宗教家は、世界に例がない。
肉食妻帯と並んで親鸞聖人が際立っているのは、『歎異抄』に記された、「悪人こそ救われる」という悪人正機説であろう。これは教科書に載り、入試にも頻出する一般常識である。親鸞聖人の深厚な教えは、日本の近代哲学、思想の源流となっているだけでなく、社会の底辺にあえぐ幾千万の心に、希望を灯してきた。
親鸞聖人に関する研究書は、江戸時代から膨大な数に上る。ところが親鸞聖人の私生活となると、不明なことだらけである。
確実な史料とされるのは、親鸞聖人の曽孫・覚如上人が著した簡略な伝記『御伝鈔』と、ご内室・恵信尼の書簡だけであり、他は伝説と断ずる学者もいる。だが実は、その『御伝鈔』冒頭に書かれた、親鸞聖人が天台宗・慈円のもとで入室されたことからして、どこまで事実といえるのか、結論は出ていない。細かい史実にこだわっていたら、親鸞聖人の人物像は描きようがなかろう。
一時期、〝親鸞は架空の存在〟と唱えられたのも、うなずける。
親鸞聖人の実像に迫るには、議論百出の歴史に踏み入るより、直筆の著作によるのが最短ではなかろうか。親鸞聖人の家系をはじめ結婚、流刑地での生活など、プライベートな面においては、ほぼ全てに複数の見解がある。それらを並べ批判するのは他に譲り、本書では親鸞聖人が何に悩まれ、どう解決し、その救いを明らかにされたかを解説した。
史料の切片からの憶測ではなく、親鸞聖人の自著をよるべに、論理一貫した親鸞伝を世に問いたい。
当時の仏教界や権力者の動向など、歴史的背景を説明しながら、仏教の基礎知識も盛り込んでいる。やや専門的な議論を紹介したところもあるが、全体はできるだけ興味深く読めるように、エピソードは三〇二ページ以降に紹介してあるアニメ映画『世界の光・親鸞聖人』に依拠して、小説風にした。
親鸞聖人に親近する、いささかの契機とならば、望外の喜びである。

平成二十六年十二月

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